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マウロ・マーティンス氏によるユーフォニアム・マスタークラスを開催しました。

2024.04.09

3月12日(火)に、ソリストとして国際的な評価を得ておられる注目の若手奏者マウロ・マーティンス氏によるユーフォニアム・マスタークラスを開催しました。

 

マウロ・マーティンス氏は、テラス・デ・ラ・サレット管楽器コンクール第1位(ポルトガル、オリヴェイラ・デ・アゼメーイス)、フィラルモニア・ドーロ第1位(2017年)、コンクール・インターナショナル・ド・サクソホルン、ユーフォニアム、テューバ・ド・トゥール第1位など、国際コンクールでの受賞も豊富です。また、世界各地でのコンサートでもソリストとして出演されています。

 

本学のユーフォニアム専攻の3名がマスタークラスを受講し、表現力を向上させるための方法について丁寧にご指導いただきました。また、マスタークラスに先立ち、マウロ・マーティンス氏による模範演奏を披露いただき、学生たちはその素晴らしい演奏から多くのヒントを得ていました。なお、通訳は木村圭太さん、伴奏は岡南健さんにご対応いただきました。

 

受講した3名にコメントをいただきました。

2年 外川真結子さん
3月12日に本学で行われた、マウロ・マーティンス先生のマスタークラスを受講させていただいた。
以前から彼のユーフォニアムの限界を全く感じさせない卓越した技術力と、繊細かつ瑞々しくも美しいフレージングに終始心を奪われ、実際にレッスンを受けるまでどこか神格化している部分があった。
しかし、今回のマスタークラスの中で彼が言っていた言葉は全てとてもシンプルかつ現実的な言葉であった。
特に印象に残るのは「完璧」という言葉である。彼はこの言葉を2つの意味で私たちに伝えてくれた。
一つ目は完璧な、すなわち考えられる全ての可能性を練習し尽くすべきであるということだ。自分自身で足りない部分に対して分析し、最善な方法で対処する。ユーフォニアムの自由さを最大限に楽しむために基礎練習があり、これからも演奏していく上でそれを怠らない覚悟を持つべきであると彼は伝えてくれた。
二つ目は音楽において完璧は時に退屈を生むということだ。完璧に楽譜をただ再現することに注力するよりも大切なことは人生にたくさんあり、楽器を全てにする必要は無い。体を動かしたり様々な分野音楽を聴き、本を読んだりして視野を広げていくことの方が有益であると彼は言っていた。
この1日を通して彼の音楽に対する考え方を知り、少し肩の荷が降りたのを感じた自分に少し驚きを覚えた。今回学んだこの二つの「完璧」の意味を胸に刻み、これからも演奏活動をしていきたいと思う。
このマスタークラスを開催してくださった大学、先生方に改めてお礼を申し上げたい。

 

1年 鹿野融詮さん
今回のマスタークラスを受けて、楽器を吹く時にもっと頭を使わなければいけないと強く感じた。
自分は練習量が多ければいつかは身を結ぶと考えていたが、マウロ先生は「練習をする時、出来ないことをがむしゃらに繰り返していても出来るようにはならない。一度楽器を置き、なぜ出来ないのか、どうすれば出来るようになるのかを考えなさい」と言っていた。このことを聞き、淡々とエチュードを吹くのではなく、例えば高音が当たらなかった時に、唇は振動しているのか、歯はしっかり開いているのか、息の圧力は足りているのかなど、頭を回転させて楽器を吹く習慣が自分には足りていないと感じた。
その他に、緊張対策や自信のつけ方に関して質問した際には、瞑想や読書が効果的だと話していた。マウロ先生ご自身は心理学の本をよく読むと言っていたが、おそらく自分が持つ自信の裏に科学的根拠があると、その自信はより確かなものになるのだろう。
またマウロ先生は体づくりにも気をつけていると言っていた。食事や関しては専属のコーチをつけ、ジムでは練習後に1時間、ランニングやダンベルトレーニングなどを行っているそうだ。健康という面でも体格という面でも、楽器の上達に体づくりというものは大いに役立つと改めて感じた。
以上のことを自分の演奏活動に取り入れて、スキルアップのために日々努力したい。

 

1年 岩崎芽衣さん
今回マウロ・マーティンス先生のマスタークラスを受講して、本当に学べたことがたくさんあった。
まず基礎的な面でのご指導がとても的確で、私が現在師事している新井秀昇先生のレッスンでのご指導と同じことをおっしゃっていた。私は特に低い音の音圧がなく、口の中が狭くなってしまうことや多くの人の前で演奏をする時などに緊張をしてしまい、体を上手くリラックスさせて吹けないのも悩みの種だったが、そういった点での基礎的な部分や体の使い方を学べた。
特に印象に残ったことは、私の楽器を吹いているときの気持ちや考えがマウロ先生に気づかれたことだ。
「上手く吹かなきゃいけない」「完璧な演奏をしなきゃいけない」そういった考えがいつも私の頭の中にありなかなか曲について考えることができない状態が多かったのだが、マウロ先生は、「ユーフォニアムを吹くのが人生においてそんなに大切じゃない、ただできるものがユーフォニアムだっただけである。」とおっしゃり私はその言葉がすごく心に残った。
今までユーフォニアムを吹いていた時自分はユーフォニアムを吹くことにしか才能を感じないことがただ多くあった。だがこの言葉を聞いた時初めて自分の心から重たい何かがなくなり、精神的に楽になった。
またマウロ先生は楽器を吹く以外で瞑想や体や脳の仕組みについての本を読むこと、普段何を行っているかも教えてくださり新しい学びを発見できた。
今回マスタークラスを受講して基礎的な部分での目標を立てることが大事だと思ったが、それ以外にも楽器を吹く上での体の構造を知ることや脳の仕組み、瞑想やユーフォニアムを吹かない時間での楽しい時間の使い方などを楽器以外のことについても多く学ぶことができたので、これからの自分の人生に生かしていきたいと思った。

※受講者の学年はマスタークラス受講時2024年3月時点のものです。

 

洗足学園音楽大学管楽器コースでは、国内外で活躍されている演奏家による実技レッスンによる基礎力と演奏技術の習得を目指しています。また、洗足ならではの多彩な合奏授業に参加し演奏経験を積み重ねています。さらに、今回のようなマスタークラスの講師として世界で活躍されている演奏家の方々を講師としてお招きし、学生が表現力をより一層磨いていくための教育体制を構築しています。