洗足学園音楽大学 弦楽器コース4年 粟國夏音
3月14日~15日に、洗足学園音楽大学と桐朋学園音楽大学音楽学部のメンバーで、石巻に音楽を届けにいきました。
バスに乗ってまず初めに向かったのは、日和山公園です。震災当時、私は中学生で沖縄県で生活していました。”本州の上のほうで大規模な地震が起こり、津波が押し寄せている”と説明され学校から家に帰るように促されました。どのぐらいの規模の震災なのかも知らず家に帰ってテレビをつけると、驚きと恐怖とで開いた口が塞がりませんでした。
日和山公園の高台から見えた景色は、私がテレビなどで見た映像よりも瓦礫や物が無く、きれいに整備されていました。しかし、広い範囲に渡って見渡せる何も無い景色。かつて、家がたくさん建っていた場所。津波の恐ろしさをひしひしと感じました。6年が経ったとはいえ、その爪あとはまだまだ深く残っていました。私たちに東日本大震災の当時の話をしてくださった佐々木奏太さん。人間は起こった出来事を忘れていってしまう生き物です。この悲惨な出来事を忘れないためにも、また私のように全然体験していない人に知ってもらうためにも、佐々木さんの活動はとても大切なものだと感じました。
今回、3箇所で演奏をさせていただきました。お客さんに春の訪れを感じてほしいと思いながら演奏しました。微笑んでいる人、じっと見て聞いている人、涙ぐむ人。最後に演奏した「ふるさと」では、会場全体が音楽に包まれて、会場の中の人たちが音楽を通じて一体になったと感じました。
音楽は人を癒したり、感動を与えたり、とても素晴らしい力を持っているとは思いますが、それだけでは不十分で、音楽を聴く人、演奏する人、運営する人、すべての人がいてこそ成り立ちます。そして、そのすべての人の心が一体になったとき、素敵な時間を共有できると思います。そんな素敵な時間を今回のコンサートで過ごすことができて、音楽をやっていてよかったと感じました。
また来年も私たちの音楽を届けにいけたら幸いです。