大学院

【レポート】『ユリシーズ弦楽四重奏団と本学大学院コンサート開催』

2017.07.04

6月15日(木)本学シルバーマウンテン1階において、ユリシーズ弦楽四重奏団と本学大学・大学院とのフレンドシップ・プログラム&ミニコンサートが開催されました。

ユリシーズ弦楽四重奏団は、2015年に結成され、ニューヨークで活躍している若手アーティストであり、レパートリーは古典から現在まで幅広く、あらゆる世代の参加型企画やワークショップを行っています。今回は神奈川県民ホール主催のコンサート来日にあたり、本学大学・大学院との共催の企画並びに平成29年度文化庁劇場・音楽堂等活性化事業の一環としてコンサートが開催されました。

フレンドシップ・プログラムでは、大学・大学院の弦楽器コースの学生との合同演奏、公開指導とディスカッション、ピアノコース講師の飯野明日香先生との共演など多彩な交流プログラムでした。

近隣から多くの来場者があり、水野佐知香主任教授をナビゲーターとして、ニューヨークと日本、煌めく才能のコラボレーションが発揮され、充実した国際交流の時間を過ごしました。

 


 

≪学生からのレポート≫  大学4年  筆氏くらら

第1部では歓迎の演奏の後、ユリシーズ弦楽四重奏団の方々が各セクションのトップに座り、ヤナーチェクの弦楽のための組曲を共に演奏し、創り上げていきました。

ユリシーズの方々のしなやかな弓の使い方、身体の使い方、和声に美しく溶け込む音、鮮やかな強弱の変化など、お隣で弾かせていただいていてハッとさせられるようなことが多く、大変勉強になりました。そして皆さんのアドバイスは比喩表現が多くとても分かり易かったため、目指したい音のイメージをすんなりと皆で共有することができました。今までなんとなく狭く窮屈さを感じていた私たちの演奏が、ユリシーズの方々との共演によって少し広がり自由になったように思えました。今回は1楽章と3楽章のみの演奏でしたが、短いながらも私たちにとって大変有意義な時間を過ごすことができました。

第2部のユリシーズの方々の演奏を聴いて最も驚いたのが、音量、音色などのバランスの良さです。そして音の集まり方。会場全体が美しい響きに包まれていました。普段から弦楽合奏の授業などで耳にする「音が集合する」という言葉が自分の中こんなにもしっくり来た演奏は正直初めて聴いたかもしれません。4人の呼吸をここまで合わせることができるのかと、私にとってはかなり衝撃的で、凄いものを聴いてしまったと思ったのと同時に自身の未熟さを痛感しました。この学生の時期に、私たちと歳の近いユリシーズの方々の演奏を間近で体感できたことは大変勉強になりましたし、いつかこのような演奏をしてみたいと願うようになりました。

第1部の終わりで、練習はどのくらいされていますか、という学生の質問に対し、朝昼晩食事を共にすることもある、と回答されていて、あの会話のような親密な演奏を目指すなら、私たちも真似してみようかと真剣に考えていました。今でもあの響きの美しさを忘れることができません。室内楽について見つめ直す良いきっかけになったと思います。

 

≪大学院生からのレポート≫ 大学院2年 佐伯 江梨花

『ユリシーズ弦楽四重奏団のレッスン受講とフレンドシップ・プログラムに参加して』

今回アメリカの若手弦楽四重奏団ユリシーズの方々のレッスンを弦楽四重奏の編成で受講しました。

レッスンを受けて1番印象に残っているのが、曲の中のキャラクター設定をすることでした。4人がそれぞれ何かしらの色や情景などをイメージし、それを音にすることが大切であると学びました。1つのイメージから、たくさんの表情を音で表現してお手本の演奏をしてくださったことが忘れられません。また、当たり前のことですが強弱など大げさにつけること。”醜い音になってもいいから、全弓を使って”と仰っていたので、弾いてみましたがこれでいいのかなという思いが強かったです。ですが、とてもよいと評価してくださったのでこれくらいやらなければお客さんには伝わらないのだと思い、改めて自分たちが思っている以上に表現をしなければいけないことを学びました。

夜はユリシーズの方々と一緒に演奏をし、ディスカッションをしながら、リハーサルを進めていくというプログラムでした。一緒に演奏をすることで、実際に4人の呼吸や動きなどを感じることができました。テンポ感が見えたり表現が更に伝わってきたので、やりたい音楽を肌で感じることができました。

その後のミニコンサートでは、ユリシーズの演奏を聴くことができました。シルバーマウンテンというデッドな環境で、4人の音が調和し柔らかい響きが聴こえてきたのがすごく印象的でした。このような響きを目指して、私も演奏に生かしていきたいです。

今回素晴らしい経験をさせていただき本当に勉強となりましたし、さらに年齢が4,5歳くらいしか離れていないと知り、もっと刺激となりました。

このような素敵な機会をくださりありがとうございました。